【Trick × Trick】ミステリーとは言えないデスゲーム――粗さが目立つやや惜しい作品【評価・感想】

今回紹介するのは、超能力×ミステリー×デスゲームを題材とした作品『Trick × Trick』です。
物語は、12人の高校生がとある謎の建物に集められたところから始まります。窓やドアはすべて封鎖されており、閉じ込められた高校生たちが戸惑う中、謎のマスコット「ウサポン」が現れます。
ウサポンは「数日ごとに行われる裁判で黒幕を特定できれば解放する」と告げます。しかし、指名した黒幕が間違っていた場合、生き残れるのはその間違えられた黒幕のみ――。果たして彼らは、本物の黒幕を暴き出すことができるのでしょうか?
超能力を駆使した決死のデスゲームが、今始まる。
それでは、『Trick × Trick』のゲームレビューをお届けします。
ホタ黒幕を当てなければ死ぬ……その緊張感と、超能力という非日常が重なって、最初から目が離せなくなりそうだね。
この記事にはネタバレが含まれています。未プレイの方や内容を知りたくない方は、ブラウザバックをおすすめします。
概要
| ジャンル | ミステリー アドベンチャー |
|---|---|
| プラットフォーム | Steam |
| 開発元 | Akizuki Yume |
| 販売元 | Akizuki Yume |
| 発売日 | 2026年8月15日 |
総評
オススメ度:
本作は『ダンガンロンパ』をモチーフに作られているものの、全体的に見せ方が悪く、魅力が伝わってこないのが惜しい作品です。
キャラクター設定自体は凝っているのですが、ほとんど喋らないキャラがいたり、超能力の設定を活かしきれていないため全体的に詰めの甘さが目立ちます。さらに立ち絵に関しても、黒幕である「ウサポン」ばかりが印象に残り、主人公側のキャラクターが輝いていない印象でした。
また、調査パートが存在しないため、背景や人物像を深く理解できないままストーリーが進んでいきます。ミステリーでありながらプレイヤーが考察する余地がほとんどなく、「プレイしていて面白い」と感じられる要素も欠けていました。
シナリオそのものは悪くありません。しかし、それを活かすための舞台装置が整っていない――そんな印象を受ける内容でした。
『Trick × Trick』の楽しさとは?
探してみましたが、正直見当たりませんでした。
強く印象に残るキャラクターはおらず、ストーリーからもミステリーとしての面白さは伝わってきません。
そのため、作品として「楽しい」と言える部分が見出せないのが現状です。
『Trick × Trick』の問題点
考える余地がほぼないゲーム性
ミステリーゲームの面白さは、プレイヤー自身が考察し、展開に驚くことにあります。
手に入れた証拠品から犯人への道筋を立てたり、キャラクターの発言から推理を展開したり、衝撃の展開に驚かせたりする――そんな「推理と驚き」があってこそミステリーとしての作品が成り立ちます。しかし本作では、その推理要素をほとんど削ぎ落としてしまったために、面白さが伝わらなくなってしまっています。
具体的な例としては
- 超能力が開示されないため、誰がどんなトリックで犯行に及んだのか推理できない
- 調査パートがないため、現場を自分の目で確認して考察できない
- キャラクターの背景が分からないため、発言の重みや説得力が薄い




ミステリー作品の制作が難解であることは確かです。ですが、プレイヤーが推理する余地を奪ってしまっては面白さが半減し、最終的には「つまらなかった」という印象しか残らなくなってしまいます。
だからこそ、ミステリー作品においては「いかにプレイヤーに考えさせるか」が何よりも重要になってくるのです。







デスゲームとは思えない感情の薄さ
デスゲームの醍醐味は、密室空間で「いつ殺されるか分からない」「仲間が犯人かもしれない」という恐怖や疑心暗鬼にあります。登場人物たちの生々しい感情こそが舞台を引き立て、物語にリアリティを与えるのです。しかし本作にはそのリアリティが致命的に欠けており、およそデスゲームとは思えない緊張感のない空間になっていました。
具体的な例としては
- 目の前で人が死んでいるのに、誰も恐怖せず互いを疑いもしない
- 殺人動機が後出しの「過去の恨み」で処理されるため、説得力に欠ける
- 全体的に「仲間への信頼」ばかりが目立ち、恐怖や疑心暗鬼が置き去りになっている
これでは「生き残るために命を懸けている」という必死さが全く伝わってきません。
何のための裁判なのか?何のための殺し合いなのか?
この根本的なテーマを突き詰めなければ、デスゲームとしての面白さを描くことは不可能です。







『Trick × Trick』の気になる部分
輝かないキャラクター達
深く知ることができない
キャラクターを魅力的に見せるには、印象的なビジュアルだけでなく、その人物像を「深く知る」ことが不可欠です。しかし本作には調査パートが存在しないため、プレイヤーはストーリーの表面的な描写からしかキャラクターを知ることができません。
その結果、重要人物がどれだけ衝撃の事実や過去を明かしても、感情移入できずどこか他人事のように聞こえてしまいます。
『Trick × Trick』のキャラクターたちは、一見すると魅力的で印象的です。しかし「どこが好きか」と聞かれると具体的に答えられない――そんな浅さにとどまってしまっています。
キャラクター達を輝かせるためにも、彼らの背景を掘り下げる要素や主人公とじっくり関わる時間がもっと必要だったのではないでしょうか。
ほぼ喋らないキャラクターの存在意義
本作には「星野渚」というキャラクターが登場するのですが、彼女は作中でほとんど喋りません。登場人物の魅力を描くことが重要な作品において、発言がほとんどないキャラクターを作るのは、貴重な「枠」を1つ無駄に潰しているようなものです。


裁判やストーリーにもっと深く関与させなければ、キャラクターとして存在する意味そのものが薄れてしまいます。
たとえどのような背景や役割が用意されていたとしても、それを作中でしっかりとプレイヤーに見せた方がいいと思いますね。
立ち絵の表情変化がなく、印象に残らない
キャラクターの魅力を伝えるには、立ち絵の存在も欠かせません。しかし本作では表情の変化がほとんどないため、キャラクターたちの存在感が非常に薄く感じられました。




一方で、マスコットの「ウサポン」だけは立ち絵のバリエーションや表情変化が激しく、一番印象に残ってしまう始末です。




主人公たちを差し置いて敵側のイラストばかりが目立つ構成は、演出の方向性がズレていると言わざるを得ません。
ちなみに、ラスボスの描き込みだけは他のキャラクターとは明らかに違っており、気合いの入り方が半端ではありません。
表情変化が激しかったラスボス(ネタバレ)















超能力の設定を活かしきれていない
「超能力×ミステリー×デスゲーム」という魅力的なテーマでありながら、超能力の活かされ方にはやや物足りなさを感じました。
問題点でも記載しましたが、本作では超能力の存在が伏せられたまま物語が進みます。超能力はこの閉ざされた空間において強力なカードになるからです。実際には直接的な殺人に活かされていない能力もあります。
例えば主人公の『少数制』という超能力は、「少数を願うと結果を少数派に傾ける」というもの。状況をコントロールできるため、裁判パートで使えれば絶大な効果を発揮する強力な能力です。
しかし、肝心の裁判では「超能力の使用禁止」というルールが課せられており、その能力を発揮することができません。せっかく面白い能力を設定しているのに、噛み合わない制約のせいで存在感が薄れてしまっているのは非常に勿体なく感じました。
「日常パートで使える超能力」と「裁判パートで使える超能力」といった形で明確に描き分けられていれば、超能力ならではの魅力が高まり、心理戦や駆け引きの面白さをもっと引き出せたのではないでしょうか。







プレイしての個人的な感想
全部に見て、面白さが伝わらない作品です
キャラクターの見せ方、ストーリーの魅せ方、そしてプレイヤーに考察させる設計――そのどれもが決定的に不足している印象です。
私自身、これまで『ダンガンロンパ』『逆転裁判』『魔法少女の魔女裁判』といった「ミステリー×議論」の名作をプレイしてきました。それらの作品はいずれも、プレイヤーに面白さを届けるための工夫が凝らされていました。
しかし『Trick × Trick』はミステリーとしての醍醐味が欠けており、ただ淡々と展開だけが通り過ぎていきます。そのため、プレイしていて「面白い」と感じられる部分がどこにもありませんでした。挙句の果てに結末はまさかの「爆発落ち」です。
次回作を匂わせるカットもありましたが、このクオリティでは続編が出たとしても購入することはないでしょう。
おまけ : 個人的に微妙と思えるシーン
唐突にポテトの魅力を熱く語り出す主人公




謎の推理を披露する主人公(後で根拠は言うが……)




生きる意味が「教科書を拾うため」


終わりに
『Trick × Trick』は、正直なところおすすめできません。
買っても後悔しないと割り切れる方にのみ、購入を検討することをお勧めします。気になる方は、Steamのレビューなども参考にしてみてください。












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