【アクアリウムは踊らない Special Edition】怖いけど、どこか優しい世界――少女スーズが触れたアクアリウムの温かさ【評価・感想】

プレミアムチケットを手に入れて水族館を訪れた少女・スーズ。彼女は友達のルルと一緒に、楽しい時間を水族館で過ごしていました。
しかし突然、ルルとはぐれてしまい、スーズは館内を探し回ることに……。
その最中、現実とは異なる不思議な“別世界”へ迷い込んでしまい羽目に。だけどその世界は、不気味でありながらどこか優しさも感じられました。
そこで出会うのが謎めいた少女・クエローー彼女はこの世界の真実を知っているようなそぶりを見せるような存在でもあります。
そんな彼女とスーズが交流を通して、世界の秘密やクロエの謎に少しずつ迫っていく……その舞台となるのが、“優しくて不気味”な世界観を味わえる『アクアリウムは踊らない』という作品です。
今回紹介するのは、ボイス追加やアフターストーリーが収録された『アクアリウムは踊らない Special Edition』 ですがAnother Story の内容はネタバレ禁止のため、本レビューでは純粋に本編を中心とした感想をお届けします。
それでは、『アクアリウムは踊らない』のゲームレビューをお届けしていきます。
ホタ概要
| ジャンル | ホラーアドベンチャー |
|---|---|
| プラットフォーム | Nintendo Switch Steam |
| 開発元 | 橙々 |
| 販売元 | Frontier Works Inc. |
| 発売日 | 2025年8月1日 |
総評
オススメ度:
グラフィックや世界観、シナリオ、BGMと、どれも非常に完成度の高い内容でした。ホラー要素も程よい塩梅で取り入れられており、過度に怖すぎることはなく、安心してプレイできる仕上がりです。
追加ボイスも実装され、豪華声優陣による演技が世界観をさらに盛り上げています。
一方でゲームオーバー時のプレイヤーへの配慮がやや薄い点や、操作が若干求められる場面がある点が挙げられます。
それでも、全体としては作品の雰囲気と演出が見事に噛み合っており、最後まで引き込まれる体験ができました。
『アクアリウムは踊らない』の楽しさとは?
幻想的な世界と行く先々で出会う魅力的なキャラクターたち
『アクアリウムは踊らない』は、水族館をベースにしながらも、さまざまな海の生物や不思議な魚人たちが登場する幻想的な世界を描いています。
その姿を眺めていると、現実とはまったく違う世界にゆっくりと引き込まれていくような感覚になります。
- バーに集う謎めいた住人たち
- アクアリウムとは思えない幻想的な駅
- 水中のように鮮やかにきらめく風景
どれをとっても“ここは別世界なのだ”と感じさせられ、気づけばこの世界観にどっぷり浸かってしまいます。




時にはホラー的な展開もありますが、その“不気味さ”すらもこの世界の魅力のひとつ。


こうした描写の積み重ねがプレイヤーの心に深く残り、本作への没入感をより強めてくれるのです。







惹きつけられるストーリーと、それを彩る魅力的なイラスト
『アクアリウムは踊らない』では、クロエという少女が物語の重要な鍵を握っています。
最初は何も話してくれず、心を閉ざしているクロエですが、ストーリーが進むにつれて少しずつ心を開き始め、スーズの過去やこの世界の成り立ちにも触れていきます。
クロエとの距離が縮まるにつれて、スーズに寄り添うように変化していく彼女の姿はとても魅力的で、プレイヤーもいつの間にか“彼女という存在”を強く意識してしまいます。


さらに、一つひとつ丁寧に描かれたイラストは、物語を深める大事な要素のひとつ。
キャラクターの心情や世界の空気感が繊細に表現されており、物語全体の没入感をより高めてくれます。


魅力的なストーリーに丁寧に描かれたイラストが重なり、本作はさらに輝きを増しているのです







水の音にこだわりを感じるSEと、アクアリウムらしい心地よいBGM
作中で使われている決定音は、本当に水が流れているような質感があり、BGMがないシーンでも飽きさせないように、水音のSEがさりげなく使われています。
そして、ゆったりと流れるBGMは、まるで本物のアクアリウムの中にいるかのような心地よさ。
こうした音響へのこだわりがあるからこそ、『アクアリウムは踊らない』は本当に“アクアリウムにいる感覚”を味わわせてくれるのです。







水の音とBGMがゆっくり混ざって、ほんとにアクアリウムの中にいるみたい。
聴いてると、心がふわっと水の中に溶けていくようで、穏やかな気持ちになるんだ。
『アクアリウムは踊らない』の気になる部分
謎解きやアクション面における、ゲームオーバー時の配慮不足
ビジュアル面はとても魅力的な一方で、システム面ではやりづらさを感じる部分がいくつかありました。
特に、謎解きやアクション時に操作を誤ると、すぐにゲームオーバーへと繋がってしまう点は気になります。
とある謎解きでは、解いている最中に足元の穴に落ちてゲームオーバー。
逃走シーンでは、わずか一コマでも足を踏み外すとゲームオーバー。
こうした部分は、少しストレスを感じる要因になっていたと思います。




特に2D視点では移動が直線的になるため、小さな操作ミスが命取りになりやすい印象です。
こういった場面では、もう少し移動マスに余裕があると、プレイヤーに優しい設計になるのではと感じました。







もう少し余裕があったら、プレイしやすかったと思うよ。
スクリーンショットが取れない
これは自分の環境だけかもしれませんが、Steam版でプレイした際にスクリーンショットが撮影できない現象が発生しました。他の作品では問題なく撮影できていたため、設定ミスではないと思われます。
今回はWindowsの標準機能でスクリーンショットを撮影しましたが、記録しておきたい場面もあったため、もし今後修正が可能であれば、対応していただけるとありがたいと感じました。
※追記:どうやらスクリーンショットに対応していない作品がけっこう多いみたいです。この作品も非対応なのかな、と思います。
トゥルールートを達成しないと、追加要素は解放されない
今回の魅力のひとつでもある Another Storyは、トゥルーエンド(ED1)を達成しないと解放されない仕様でした。
それ自体は問題ではありませんが、ED1に到達するには特定のフラグを踏む必要があり、条件を満たさないと到達できない仕組みになっています。
そのため、セーブのタイミングを誤ると最初からやり直す必要性があります。
仕方のない部分ではありますが、もし可能であれば、一度クリアした後はED1直前から再開できるような救済措置があると嬉しいと感じました。


プレイしての個人的な感想
全体的に見て、良作でした。
RPGツクールで制作されている作品ながら、丁寧に作り込まれており、作者の温かみを強く感じました。
そして何より、『アクアリウムは踊らない』を8年という長い年月をかけて、諦めることなく一人で完成させたという点には、本当に心を打たれました。
その情熱と粘り強さには、同じくゲームブログを続ける者として深い尊敬の念を抱きます。
自分もこの活動を続けていく上で、改めて気を引き締めようと思いました。
個人的にお気に入りのシーンは、頭にヤドカリを乗せている所。
可愛さを感じました。
よりゲームを楽しむために
本作は音質が大事なタイトルなので、世界観に浸りたい方はこちらのイヤホンでのプレイがおすすめです。
「final (ファイナル) E500 カナル型」は、音質と価格のバランスが評価されており、安価で性能が良いう声もあります。プレイ時の没入感を高める選択肢として紹介しておきます。
終わりに
『アクアリウムは踊らない』は、不思議な世界観を味わいたい方や、短編アドベンチャーを楽しみたい方におすすめの作品です。







作り手の想いが伝わってきて、心がそっとあたたかくなったよ。

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