【My Little Puppy】明るさの裏で辛さも体験する物語……コーギーのボングと共に歩む、パパへと続く果てしない旅路【評価・感想】

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今回取り上げるのは、天国で幸せに暮らしているコーギーのボングが、パパを迎えに行くために旅へ出る作品の『My Little Puppy(マイリトルパピー)』です。

その旅路は決して優しいものではなく、いくつもの苦難が立ちはだかります。それでもボングは、再会を信じて一歩ずつ進んでいく。そんな物語です。

それでは、My Little Puppy(マイリトルパピー)のゲームレビューをお届けしていきます。

本作品は「死」を題材にした物語です。そのため、レビュー内容によって、心が揺れる場面があるかもしれません。
心が弱い人、鬱的な症状がある人はブラウザバック推奨です。

なお、本レビューを読んで感じた心身の変化については、責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

シア
14本目よ。たとえ辛くても、前へ進もうとする心を描いた物語……
目次

概要

ジャンルアクションアドベンチャー
プラットフォームSteam
開発元Dreamotion Inc.
販売元KRAFTON, Inc.
発売日2025年11月7日
公式リンクSteam

総評

こんな人が対象オススメ度
犬好き
どんな苦しさも共に歩める
作業感を味わいたくない
アクションが苦手
犬のつらい描写を見たくない
感じ方の違いによるオススメ度の変化

犬の可愛さ感動的なストーリーは良かったです。しかし、アクション面やテンポの悪さが全体の完成度をやや下げており、プレイ中に没入感を損なう場面も見受けられました。

物語としては犬との絆を丁寧に描こうとする姿勢が感じられるため、「犬と最後まで向き合える人」にとっては心に残る作品なります。一方で、犬の痛々しい描写が苦手な方には、少し重く感じるかもしれません。

「My Little Puppy」のここが良い

ふわもふ感がたまらない、多彩な犬たちの存在

このゲームの一番の魅力は、やはり犬そのもの。物語の中では、たくさんの犬たちが登場します。

チワワ、ハスキー、ドーベルマン、ボーダーコリー……その種類は多種多様で、どの子も個性豊か。コーギーのボングは、冒険の中で彼らと出会い、さまざまな想いを交わしていきます。

個人的に印象に残ったのは、3匹の犬が一斉におねだりをするシーン。仕草や表情が本当に可愛らしくて、思わず笑顔になってしまいました。

シア
犬たちの仕草って、言葉よりもまっすぐに気持ちを伝えてくるの。
ふわもふの温かさの中に、“生きてる”という鼓動と幸せを感じたわ。

パパを純粋に思い続ける、コーギーのボングの気持ち

次の魅力は、コーギー・ボングのパパへのまっすぐな想いです。

ストーリーの中では、パパとの出会いや遊び、思い出が丁寧に描かれており、ボングのパパへの深い愛情が伝わってきます

死をテーマにしているため、悲しい場面もありますが、全体を通して見ると幸せを感じられるシーンが多めでした。

ストーリーが進むにつれて、涙腺崩壊間違いなしです。

シア
ずっと待ち続けるボングの姿を見ていると、心がやわらかくなるの。
あの小さな体に詰まっているのは、寂しさよりも“愛する力”なのよね。

コミカルなイラストが作品の雰囲気をさらに引き立てる

3Dグラフィックだけでなく、コミカルなイラストもこの作品を盛り上げる大きな要素のひとつです。

「パパを純粋に思い続ける」の見出しでも画像を添えていますが、旅の途中で出会う犬や人間たちとのイベントシーンでも、コミカルで温かみのあるイラストが描かれています。

そうした演出が、物語全体をやわらかく彩り、作品をより魅力的に見せてくれていました。

シア
イラストのやわらかさは、物語の光そのものね。
コミカルなのに温度があって、世界をやさしく包んでいたわ。

「My Little Puppy」のここが良くない

不快になる一部のシナリオ

※再度、注意
本項目には重い内容が含まれます。アコーディオンで非表示にしていますが、閲覧される方は自己判断でご覧ください。

本作は死をテーマにしているため、どうしても全体的に暗い印象の場面が登場します。その中でも特に印象的だったのが、上司の命令で犬たちの殺処分を行った職員が、心身ともに疲れ果てて亡くなり、天国で穏やかに暮らすシーンです。

物語上、このような描写が登場すること自体は理解できます。しかし問題なのは、その職員が「死によってすべての苦しみから解放された」ように描かれている点でした。

この表現は、プレイヤーによっては「死んだほうが楽になる」という誤った印象を与えてしまう可能性があります。

ゲームという表現媒体ではどんなテーマも描けます。だからこそシーンだけは、受け手の心への影響を意識した配慮がもう少し必要だったと感じました。

また、コーギーのボングが命の危機に瀕する場面もあり、心の弱い方や動物の苦しみに敏感な方には本当におすすめができません。

死にかけているボングを時間制限内に探さないといけない
シア
この物語は、静かに胸が痛むわ。命の重さや残された温度がずっと心に触れてるの。
悲しみを描くこと自体は間違いじゃないけれど、そこに誰かの心が寄り添っていてほしいの。

ユーザーが楽しくプレイできない構図

序盤は探索しながら楽しくプレイできましたが、違和感を覚え始めたのは雪山のステージ以降でした。

落ちやすい氷の上での移動吹雪で前に進むのに苦戦する雪山チェイスやステルス要素の多さなど、アクションが苦手な人にとっては負担が大きく感じられます。

ストレスが続くと楽しさよりも辛さが勝ち、プレイを続ける気力を削いでしまうため、バランス調整がもう少し必要に感じました。

アクションの中では序盤の草むらを駆け巡るアクションが、いちばん楽しく感じられる場面だったと本当に思います。

こういうアクションがやりたかった。

「My Little Puppy」のここが気になる

自由度の低下

ミニゲームやQTEの多さによってアクションとしての自由度が下がり、作品全体の体験性も薄れていました。QTE自体はアクションが苦手な人への配慮として良い試みだと思いますが、多用しすぎると逆にテンポや楽しさを損なってしまいます。

QTEが多め…

ミニゲームも犬との一体感を感じられる内容なら魅力的だったものの、アクションの腕前を求められるものが多く、結果的にストレスを感じる場面が目立ちました。

操作性がきつすぎる川下り

あと、なんとこの作品、ダッシュ中は匂いがかげません。正直、犬としてそれはどうなんでしょうね……と思いました。

ボングよりも目立つ人間

途中まではポングを中心に物語が進んでいましたが、途中からは見知らぬ女性の話が主軸になります。

彼女は天国の飼育員のような存在として描かれていますが、ポングよりも目立つ場面が多く、少し違和感を覚えました。

似たようなシーンが3回も出てきます。

敵対するドーベルマンの存在を描くために必要な描写なのかもしれませんが、この作品ではポングが主役なので、そこまで前に出す必要はなかったように感じます。

よくわからない世界観と合わないネタ

この作品は死後の世界を舞台にしていますが、描かれる天国の道には少し違和感を覚えました。

まず、熊が死んでいないのに存在していて、何故かポングを襲ってきたりします。さらに、正体不明の生物も登場しますが、なぜ犬たちを襲うのかが分かりづらく、理解しづらい部分でした。

序盤ではリングを手入れることが目的とは分かるが……それ以外は一切不明

文字のないイラストで語る作品という構成上、雰囲気で察してほしい意図なのかもしれませんが、個人的には意味をつかみきれませんでした。

また、「竜巻旋風脚」や「昇竜拳」といった小ネタ的な要素も世界観にはそぐわず、没入を妨げていたように感じます。こうした演出を面白いと感じる人もいるかもしれませんが、全体としては好みが分かれる要素だと思います。

シア
これもきっと、演出としての意図があったのだと思うわ。
でも、もう少し意味や背景に説明があれば、受け取る側も迷わず感じられたかもしれない。

「My Little Puppy」への個人的な考え

この作品は、プレイヤーにも辛い体験をしてもらい、共に乗り越えていくことを意図した作品だと感じました。そのため、テンポの悪さや体験性の乏しさも、あえて辛さとして描かれているのかもしれません。

そして最後には、「やってよかった」と思わせたい――そんな狙いを感じました。ただ、プレイヤーの体験としてはやや不安定で、十分に活かしきれていない印象もあります。

シア
この作品は、楽しませるというより、心を試すような作りになっているのかもしれないわ。
つらさの中で何を感じるか――そこにこそ、制作者が伝えたかったものがある気がするの。

「My Little Puppy」の個人的な感想

全体的に見て正直がっかりする部分が多く、ストレスを感じる場面がある作品でした。

PVを見たときは、「コーギーのポングと一緒に冒険できるんだ」というワクワク感がありましたが、実際にプレイしてみると、その冒険感はあまり感じられませんでした。

ポングがもっと自由に駆け回り、最後にパパの元へ辿り着くような展開だったら、きっともっと心に残る作品になったと思います。

終わりに

『My Little Puppy(マイリトルパピー)』は、犬が必死に進む姿に心を重ねられる人におすすめです。
一方で、自由度がほとんどなく、作業感が苦手な人やアクションが得意でない人にはあまり向かないかもしれません。

シア
ボングの旅は、優しさと痛みが寄り添う物語だったわ。完璧ではないけれど、その不器用さの中に“生きる”という力を感じたの。
だからこそ、この世界を少しだけ愛しく思ってしまうの。
蛍火
ではまた。
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